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※本記事で紹介する製品のうち、準固体電池のエレコム DE-C85-5000は実際に購入して使用しています。それ以外の製品(リン酸鉄・NLB)は未所有で、公式サイトや発表情報をもとに構成した紹介です。あらかじめご了承ください。
モバイルバッテリーの発火事故のニュースを、ここ数年で目にする機会が増えたように感じます。飛行機への持ち込みルールが厳しくなったり、リコール対象の製品が話題になったりと、「モバイルバッテリー=ちょっと怖いもの」というイメージを持ち始めた方も多いのではないでしょうか。
そんな中で最近よく見かけるのが「燃えない」「発火しにくい」を売りにしたモバイルバッテリーです。ただ、ひと口に「燃えない系」と言っても、実はメーカーによってアプローチがまったく違います。今回は、その仕組みの違いを整理しつつ、家電量販店やネット通販でも見つけやすい代表的な製品を3つ紹介します。
なぜモバイルバッテリーは発火するのか
モバイルバッテリーの多くは、リチウムイオン電池を使っています。エネルギー密度が高く小型化しやすい反面、内部で強い衝撃を受けたり、劣化が進んだりすると、電池内部でショートが起き、そこから熱暴走という連鎖反応につながることがあります。高温になると電池自体が酸素を放出し、それが燃料となって一気に燃え広がる、というのが主なメカニズムです。
安価な粗悪品だけでなく、経年劣化や落下による損傷が原因になるケースもあるため、「ブランドを選べば絶対安心」というわけではありません。そこで注目されているのが、電池の作り自体で発火リスクを抑えようとする以下の3つのアプローチです。
「燃えない系」3つのアプローチ
①リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)
正極材にリン酸鉄を使った電池です。電気自動車のバッテリーにも使われている素材で、原子同士の結合が強く、高温になっても分解されにくいのが特徴です。従来のリチウムイオン電池のように高温下で酸素を放出しにくいため、発火につながる連鎖反応が起きにくいとされています。歴史が比較的長く、実績のある方式です。
②準固体(半固体)電池
電池内部の電解質を、液体からゲル状に変えた方式です。従来の液体電解質は、破損時に漏れ出して発火や液漏れのリスクにつながることがありましたが、ゲル状にすることで漏れにくくなり、衝撃や穴あきなどのダメージを受けてもショート・発火が起きにくいとされています。2026年に入ってから本格的に採用製品が増えてきた、比較的新しい方式です。
③安全設計強化型(Anker「NLB」など)
電解質そのものを変えるのではなく、従来のリチウムイオン電池をベースに、素材の純度や製造工程、保護システムの面から安全性を底上げするアプローチです。代表例がAnkerの「Neo Lithium-ion Battery(NLB)」で、発火の原因になりやすい不純物を極限まで取り除いたセルに、セルごとを秒単位で監視するバッテリーマネジメントシステム(BMS)、さらに難燃性素材の筐体を組み合わせています。電解質の種類自体はリン酸鉄でも準固体でもなく、通常のリチウムイオン電池です。
3方式の比較表
| 方式 | 仕組みの特徴 | メリット | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| リン酸鉄(LFP) | 正極材に熱に強いリン酸鉄を採用 | 実績が長く、長寿命(充電サイクルが多め) | 他方式に比べてやや重くなりやすい |
| 準固体(半固体) | 電解質をゲル状にして液漏れ・発火を抑制 | 比較的軽量・薄型化しやすい | 採用製品の歴史が浅く、長期実績はこれから |
| 安全設計強化型(NLB等) | 通常のリチウムイオン電池を、純度・BMS・筐体で多角的に強化 | 容量あたりの薄さ・軽さを保ちやすい | 「電池の素材自体」が変わっているわけではない点は理解しておきたい |
3方式の代表的な製品を見てみる
実際に家電量販店やネット通販で手に入りやすい製品の中から、方式ごとに1つずつ紹介します。このうち準固体(半固体)のエレコム DE-C85-5000は、以前使っていたモバイルバッテリーが充電できなくなったのをきっかけに実際に購入したもので、約1ヶ月使用しています。それ以外の2つは気になっている未所有製品です。
リン酸鉄:エレコム DE-C39-12000
12,000mAhの大容量ながら、USB Power Delivery規格に対応し最大20Wで急速充電が可能なモデルです。出力はUSB Type-C・USB-Aの2ポートを搭載し、2台同時に充電できます。リン酸鉄リチウムイオン電池は電気自動車のバッテリーにも使われる素材で、従来のリチウムイオン電池と比べて安全性が高いとされ、メーカーによるとくり返し使用回数は1000回です。スマホを充電しながら本体も充電できる「まとめて充電」も備えています。サイズは約78(幅)×17(奥行)×159(高さ)mm、重量は約310gです。
準固体:エレコム DE-C85-5000(実際に購入・使用中)
容量5,000mAhで、USB Type-Cポートは最大22.5WのPD急速充電に対応、USB-Aポートも搭載し2ポート同時使用も可能なモデルです。半固体リチウムイオン電池の採用により、くり返し使用回数は従来品の約4倍にあたる約2,000回とされています。充放電回数から電池の劣化度を判定し、LEDの色で買い替え時期を知らせる「Health Monitor」機能も搭載。サイズは約68(幅)×11.4(奥行)×110(高さ)mm、重量は約135gです。
以前使っていたモバイルバッテリーが充電できなくなったのをきっかけに購入し、約1ヶ月使用しています。実際に使ってみて良かったのは次の点です。
- 薄くて軽い:カバンに入れているのを忘れるくらいの薄さ・軽さで、出し入れしても重さの変化をほとんど感じません。
- LEDの残量表示が便利:1%刻みで残量が見えるので、充電のタイミングが判断しやすいです。
安全設計強化型:Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus)
Anker独自の「Neo Lithium-ion Battery(NLB)」を採用したモデルです。容量は10,000mAhで、約104×71×15mm・約215gという薄型ボディに収まっています。メーカーによると、電極・電解質から不純物を徹底的に排除したセルに、釘を刺して強制的に内部ショートを起こす「釘刺し試験」や加圧試験、耐熱試験などをクリアした設計を採用。セルごとの状態を秒単位で監視するバッテリーマネジメントシステムと、難燃性素材の筐体を組み合わせています。Qi2認証済みで、対応スマホにマグネットで吸着させながら最大15Wでワイヤレス充電が可能。USB-Cケーブルでの充電は最大30W対応です。2026年5月に予約販売を開始し、7月末から一般販売されています。
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価格:11990円 |
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小ささ・軽さで比べると
持ち歩きやすさを重視するなら、サイズと重さも気になるところです。3製品の本体寸法・重量を並べてみます。
| 製品 | 容量 | サイズ(幅×奥行×高さ) | 重量 |
|---|---|---|---|
| エレコム DE-C39-12000 | 12,000mAh | 約78×17×159mm | 約310g |
| エレコム DE-C85-5000 | 5,000mAh | 約68×11.4×110mm | 約135g |
| Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus) | 10,000mAh | 約104×71×15mm | 約215g |
重量だけで見ると、実際に使っているエレコム DE-C85-5000が圧倒的に軽く、体積も一番コンパクトです。ただし容量は5,000mAhと他の2つ(10,000〜12,000mAh)の半分以下なので、単純に「一番小さいから一番いい」とは言い切れません。スマホを1回分しっかり充電できればいい、とにかく荷物を軽くしたいという用途なら強みが活きるサイズ感です。容量を優先するならエレコムDE-C39-12000、薄さと容量のバランスならAnkerが候補になりそうです。
選ぶときに気をつけたいポイント
- 丸形PSEマークの本体刻印を確認する:モバイルバッテリーには丸形のPSEマークの表示が義務付けられていますが、シール式で偽造されているケースも報告されています。本体に直接刻印されているかを確認すると安心です。
- 「燃えない」ではなく「発火しにくい」という位置づけ:どの方式も発火リスクを大きく下げる工夫はされていますが、絶対に発火しないと保証されているわけではありません。落下や強い衝撃を与えない、膨張したら使用を中止するなど、基本的な扱い方も引き続き大切です。
- 用途に合った容量・出力を選ぶ:とにかく荷物を軽くしたい・スマホを半分〜1回分充電できれば十分なら5,000mAh前後、しっかり1〜2回分充電したいなら10,000mAh前後、旅行や防災用途も兼ねるならそれ以上の容量も検討候補になります。
まとめ
「燃えない系」と一括りにされがちなモバイルバッテリーですが、リン酸鉄・準固体・安全設計強化型では、そもそものアプローチがまったく違うことが分かりました。
今回実際に選んだのは、準固体(半固体)のエレコム DE-C85-5000です。以前使っていたモバイルバッテリーが充電できなくなったのを機に買い替え、約1ヶ月使ってみましたが、薄さ・軽さのおかげでカバンに入れっぱなしにしていても負担を感じないのが一番の満足ポイントです。LEDでの残量表示も地味に便利で、日常使いにはちょうどいいサイズ感だと感じています。リン酸鉄のエレコムDE-C39-12000や、AnkerのNLBモデルも引き続き気になっているので、機会があれば実際に試してみたいと思っています。
※準固体電池のエレコム DE-C85-5000は実際に購入し、約1ヶ月使用した上での感想を含んでいます。それ以外の製品(リン酸鉄・NLB)は未所有で、各メーカーの公式サイト・プレスリリース等の情報をもとに構成しています。仕様は記事執筆時点のものです。最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。

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